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現代日本を代表する詩人の一人、吉増剛造が1999年末から2000年秋にかけて制作を試みた
“詩作品としてのポラロイド写真”のうち74点を、
サイズ、色彩はもとより、紙の弾力、表面の光沢を含め、モノとして忠実に再現したボックス・エディション。
書き込まれた文字を抽出したテキスト冊子付属。
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作品が1枚貼られた表紙は、作品数に応じて74種類あります。
著者直筆のカリグラフィーが封入された特別版もあります。[完売しました]
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特別版 / 付属のカリグラフィー30部は全て異なります。
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[作品解説]
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1999年秋、それまで写真展を数度開催していた吉増剛造に、
ポラロイド写真による展覧会の企画がもちこまれた。
吉増は快諾し、〝詩作品としてのポラロイド写真〟の試みがスタート。
間もなく吉増はポラロイド写真裏面の黒地に、白や金、銀のペンを用いて文章を綴り始めた。
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この試みは『瞬間のエクリチュール──吉増剛造ポラロイド日記』と題され、
2000年初頭から週刊誌「アサヒグラフ」で連載されることになる。
ポラロイド写真2枚にテキストを添えた、カラー1ページの誌面であった。
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撮影直後に書かれた生の言葉は、ポラロイド写真の即時性に対応するかのように、
推敲をほとんどしない状態で発表された。
「飾るひまのない状態で書いた言葉」をそのまま発表することは、
推敲に推敲を重ねる吉増には非常に稀有なことで、吉増の制作に異なる局面をもたらした。
その後のnakedwritings(教材等として配布される手書きメモ)などにも影響を与えたと考えられる。
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また、カメラからフィルムが飛び出してくるときの大きな音や様子、
裏の黒地に筆記するときのツルツル滑っていく触感にも触発されたことを、
吉増は当時、しばしば語っていた。
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ここにおさめた作品は、ほとんどが旅先で撮影されている。
生活拠点の一つであったアリゾナ、朗読やパフォーマンスなどで訪れたフランス各地、
毎冬滞在していた石狩、宮沢賢治の故郷・花巻、そして30年にわたって旅を続けている奄美、沖縄……。
詩やエッセイを書き、朗読やパフォーマンスを行い、大学等で講義をするといった活動の背景にある、
通常では表に出ることのない心の底を映し出すような連載となった。
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連載は雑誌の休刊に伴い37回で中断。
2002年にはこれらの74点に撮り下ろし作品を加え、
『瞬間のエクリチュール──吉増剛造ポラロイド写真展』を開催した(於:ポラロイド・ギャラリー)。
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なお、旅の道連れとしてしばしば登場するカチーナドールは、
ネイティブアメリカンのホピ族が信仰する精霊を象った木彫りの人形である。
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写真・テキスト・題字:吉増剛造
コーディネート:桜井裕子
デザイン:秋山伸 / エディション・ノルト
カバー製作・カラー印刷:サンエムカラー
プリンティング・ディレクション:郡清次郎 / サンエムカラー
モノクロ印刷:印刷設計
アセンブル:チクチク・ラボラトリーebisu、チクチク・ラボラトリーuonuma
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発行:2016年7月1日
箱外寸:225 x 150 x 28mm
カード:107 x 87mm / 74枚
カード印刷:
表=UVプロセス4色+UVクリア厚盛り+UVメタリック+UV特色1色
裏=UVマットスミ+UVメタリック+UV特色1色
テキスト冊子:日本語 / 215 x 140mm / 80p / モノクロ印刷
通常版:初版270部|定価=8,500円+税
特別版:限定30部|SOLDOUT|定価=15,000円+税
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Images and texts © 2000 Gozo Yoshimasu
All rights reserved.
Printed and bound in Japan
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